今、アレルギーの予防と治療について、新しい方法が研究されつつあります。
2ヶ月ほど前のNHKスペシャルで放映された内容ですが、かなり参考になると思いますので、ご紹介いたします。
キーとなるのは、「Tレグ細胞」
「Tレグ細胞(制御性T細胞)」は「アレルギー反応として暴走する免疫細胞(攻撃細胞)」を抑え込む働きをしてくれるので、過剰な免疫反応を制御できるのです。
このTレグ細胞がアレルギーの予防や治療に大きく関係していることが分かりつつあります。
まずは、食物アレルギーの「予防」について
驚くべきことに、「アレルギー食品を避けていても、アレルギーを予防できる証拠はない」ことが、ピーナッツアレルギーについての調査で判明したのです。
むしろ、「あえてアレルギー食品を少しずつ食べる方がよい」と今年のアメリカのアレルギー学会で発表されました。
離乳食も「色々な食べ物を食べている方がアレルギーになりにくい」という調査結果もでています。
この仕組みは、人の身体が特定の タンパク質に定期的にさらされることで「それぞれの食品ごとに専門のTレグ」がつくられることによると推測されています。
次に、アレルギーになる「意外なきっかけ」についてです。
ポイントは、アレルギーを引き起こすタンパク質が「身体に入ってくる経路」です。
なんと、害のない食物タンパク質でも「皮膚から」入るとアレルギーになりやすい、とのことで、これは前述した「腸から」取り込む場合と逆の結果なのです。
子供の頃からピーナッツオイルで皮膚を保湿してきた人が、重度のピーナッツアレルギーになったことから、分かってきたそうです。
この仕組みは、「腸は外敵にさらされやすい」のでTレグが多いのに対して、「皮膚はバリヤがある」のでTレグが少ない(←Tレグが少なくても防御ができるのが本来)ことから過剰にアレルギー反応が起こってしまう、と考えられています。
最後に、既にアレルギーになっている人のアレルギーの「最新治療」についてです。
最新のバイオテクノロジーを駆使して、アレルゲンとなるタンパク質の中の「Tレグを含む免疫に関わる部分」を取り出し、その中から「危険なアレルギー反応を起こす部分」を取り除き、「Tレグを増やす部分のみ」を抽出します。
そして、この「Tレグを増やす部分のみ」を大量に含ませた食品をを作り上げ、それを摂取し続けることで、アレルギーを抑制しようとする試みです。
これにつき、杉花粉アレルギーの人に、杉花粉専門のTレグを増やす部分を含ませた米を2ヶ月間食べることで、杉花粉の症状が半分に抑えられたとの実験結果がでたのです!
この試みも既に臨床研究の段階にあるので、普通のアレルギー治療として利用される日も近いことでしょう。
様々なアレルギーで苦しんでいる方が増えつつある現代社会において、非常に希望の持てる情報ですね(^^)
« 前の記事:一年間の成長を感じる
次の記事:登山で、抜いて足す! »