「お米は食べると太る」
よく耳にする言葉ですね。
ですが、お米大好き人間の私個人としては、全く実感のない言葉でした。
私は、ご飯を食べる時は、茶碗1~2杯位は普通に食べてますが、太る気配は全くないのです!
この私の実感を科学的に説明してくれるテレビ番組が先日放映されました(※)
その番組では、米食の害どころか、むしろ最近までよく流行っていた「糖質制限」のリスクや、米食がむしろ肥満予防にもなることへの言及もあり、とても示唆に富む内容だったので、ご紹介いたします。
糖質制限のリスクについて
● 脳の発達・機能維持について
番組では「人間の祖先であるホモ・エレクトスがでんぷん質を『火で加熱調理』することで、より多くの糖質を摂取できるようになり、脳が巨大化した」と伝えていました。
これは、世代を超えて脳を発達させてきた人間の歴史の話ですが、その話からすれば「脳を発達させたり脳の機能を維持するため」には、基本的に糖質が欠かせないといえることになると思います。
ですから、糖質を限りなく制限してしまうと脳の発達・維持にとても支障がでてくると考えられます。
特に、成長過程の未成年の方々は、糖質制限はしない方が後々のためだと思います。
● 糖質は、人間の進化の過程で最も重要なエネルギー
人間の祖先は、20億年前に、糖から大量のエネルギーを生みだせる微生物「ミトコンドリア」を体内に取り込むことで、大量のエネルギーを使えるようになり進化を遂げてきました。
ですから、糖質からミトコンドリアにエネルギーを作らせることが、人間にとって生命を支える根源的な仕組みとなっているのです。
では、そんな重要な糖質を制限することで、どのようなリスクが生じるのでしょうか?
番組では、「糖質を摂取しないと、細胞が傷ついても細胞が生まれにくくなり傷が蓄積し、細胞の修復が直ぐにできなくなる」と伝えていました。
具体的には「血管の場合動脈硬化を引き起こしやすくなり、心臓病による死亡率が50%上がるとの報告もあるそうです。他にも、ガンや脳梗塞のリスクも増えることが判明してきている」とのことです。
糖質を少なめに(35%)摂取する人々は、標準的に(60%)摂取する人々よりも死亡率が1.3倍以上高まっていたとのデータもあります(米国シモンズ大学による、13万人の食生活と健康状態を20年以上にわたった調査に基づいたデータ)
以上のように、糖質を限りなく制限することは、健康な人にとっては、一時的なダイエットになるにしても、リスクの方が大きいのではないかと思われます(糖質制限食は、本来、糖尿病患者のための食事療法です)。
では、「ごはんは太る」との意見は正しいのでしょうか?
日本人は本来、米食に合った体
番組では、十数人の日本人と西洋人にでんぷん質を同じ速さで咀嚼してもらい、どれくらいの早さで甘味を感じられるかの実験をしていました。
その実験の結果は、日本人の方が圧倒的は早くでんぷん質の甘味を感じることができていました。
この結果の意味はどこにあるのでしょうか?
キーワードは「アミラーゼ遺伝子」
日本人は欧米人よりも、アミラーゼ遺伝子が多く、そのことがでんぷん質の甘味に敏感であることの理由です。
では、このアミラーゼ遺伝子が多いことの意味はどこにあるのでしょうか?
実は、膵臓から分泌されるインスリンの量が多いと太りやすいのですが、アミラーゼ遺伝子が多い方がインスリンが出過ぎないのです。
ですから、アミラーゼ遺伝子の多い日本人は、米などのでんぷん質を摂取してもインスリンが出過ぎることはなく、米食をしても本来太りにくいはずなのです。
ただ、ここでポイントは「でんぷん質」にあります。
糖質には、でんぷん質のような多糖類と砂糖・果糖のような単糖類があり、多糖類であるでんぷん質は、繊維質が多いので摂取しても急激に血糖値が上がりません。
ですが、砂糖や果糖のような単糖類は繊維質が少なく血糖値が急上昇しやすいです。
ですから、糖質の中でも砂糖や果糖を沢山摂取すれば、日本人でも、急激に上がった血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌され太りやすくなってしまいます。
糖質制限を主張する方は、糖質の中身を問わずに、でんぷん質と砂糖・果糖を混同して糖質を否定していることが多いようです。
ですが、糖質の中でも「でんぷん質」は人間、特に日本人にとってとても合った食材であるので、日本人は、安心して米食をすべきだと思います。
スーパー腸内細菌を育てるべし!
さらに、糖質をエサにするスーパー腸内細菌が日本人の腸内に存在しているようです。
その腸内細菌とは、「プリボテラ菌」
糖質をエサにすることで「短鎖脂肪酸」を作り出すそうで、この短鎖脂肪酸は、脂肪燃焼を促したり、免疫の働きを良くして動脈硬化や糖尿病を予防したりするのに役立つとのこと。
ですから、プリボテラ菌を元気にして肥満や生活習慣病を予防するためにも、糖質(特にでんぷん質)は積極的に摂取すべきといえます。
では、このお米、具体的にはどの程度食べるのがよいのでしょうか
理想のお米の摂取量
現代の食生活では、肉類などからタンパク質や脂肪を摂取する機会も多いのが現実ですね。
ですから、タンパク質や脂肪とのバランスも考えて、でんぷん質を摂取すべきといえます。
番組では、理想の糖質の摂取量を「全摂取カロリーの50~60%」と伝えていました。
お米でいえば「毎食ごとに、お茶碗一杯程度」とのこと。
個人的には、おかずがシンプルな場合は、お茶碗二杯位は食べてしまいますが(笑)
以上お伝えしてきたように、ダイエットや生活習慣病の予防を考えている方にこそ、米食はオススメといえます。
繰り返しになりますが、糖質でも砂糖や果糖はNGです。でんぷん質であるお米をしっかり食べましょう(^^)
(※)「食の起源 第一集 ご飯」(NHKスペシャル 2019年11月24日放映)
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