鍼灸の施術をしていると、受け手の方から、よく受ける質問があります。
「ハリってなんで効くのですか?」 です。
鍼が効くメカニズム とは?
鍼が効くメカニズム。。。実は、まだ完全に解明されていません ^^;
ですが、近年有力視されている視点があります。
それは。。。
「筋膜リリース」 です(^^)
今や、「筋膜リリース」は巷でかなり浸透している言葉ではないでしょうか。
ストレッチポールやテニスボールを使って皮膚の上から、ゴリゴリ筋膜はがしていく方法をイメージする方が多いかと思います。
この「筋膜」に関連させて、NHKの「ガッテン」という番組が最近、はりについて特集しました(2019年2月20日放送、番組のダイジェストは、こちら)
番組では、「筋膜とは、筋肉を包んでいる薄い膜のこと。筋肉に過度な負担をかけていくと、だんだんと筋膜にシワが寄っていき、硬くなった筋膜に包まれている筋肉が伸縮できなくなっていく。また、筋膜には痛みを感じる受容体が沢山あるので、筋膜に不調が生じると痛みや不快感が生じる」との説明がなされていました。
さらに番組では、エコーを使って鍼が筋膜を貫いて緩めていく様子を放送していました。
シワが寄って硬くなった筋膜が「ミルフィーユのように」何層にもつぶれるように重なっている状態であったのが、鍼で筋膜が緩められると、つぶれるようになっていた筋膜が剥がれるように緩んでいく様子が映し出されていたのです。
この現象は、鍼灸の臨床をしていると、手応えとしてよく感じることでした。
硬いコリを緩めようとして、鍼をトントンと皮膚に入れ( ←「切皮(せっぴ)」といいます)、スゥーっと鍼を進めていくと、硬い緊張に針先が当たります。
その硬い緊張を鍼でじっくりと緩めていくと、ある瞬間、「スッ」と鍼先が軽くなり、またスゥーと鍼が進み、またその奥に硬い緊張に針先が当たる。。。
このような手応えは、常々、鍼を持つ手に感じられるものです。
鍼先が「スッ」と軽くなった瞬間に、鍼の受け手の方から「あ、ゆるみましたね」と言われることもよくあることです。
また、番組では、各筋膜は繋がっていて、その繋がりが東洋医学でいうところの「経絡(けいらく)」の流れとほぼ重なることも指摘していました(例えば、踵の辺りの筋膜が後頭部の辺りの筋膜まで、その間の筋膜を介して繋がっている等)。
この指摘は、個人的にはとても興味深いもので、東洋医学の経絡のメカニズムの解明の一つの切り口ではないかと思うところです。
経絡に似た概念に「経筋(けいきん)」というものがあります。経絡が「気の流れるルート」であるのに対して、経筋は正に筋肉的な繋がりの表す概念です。
個人的には、筋膜の連動は、どちらかというと経絡よりも経筋の流れに近いのではないかと思います。
古代中国の鍼灸の古典にも「腰や背痛みの時には、膝の裏のツボを使え(腰背は委中に求む)」という主旨の記述がありますが、古代中国でも、正に筋膜の繋がりを利用して、筋膜リリースをしていたことが伺えます。
筋膜リリースに、鍼が効果的であることの理由
手前味噌ですが、鍼は、この「筋膜リリース」にとても効果があると実感しております。
その理由は、次の2点です。
1、何層にもわたる筋膜のうち、身体の奥の方の筋膜を「直接に」リリースするのに、鍼がとても有効であること
近年、デスクワーク等で「身体の奥の方の」深層筋(インナーマッスル)が凝り固まっている方がとても増えています。その奥の凝り固まった筋膜に直接届く鍼の有効性を実感しております。
2.筋膜が非常に硬くなってしまうと、まるで「石か骨のように」硬くなってしまい、それをリリースするのには、鍼以外では難しいと感じていること
このように石のように硬い筋膜に鍼先が当たると、まさにコツっという手応えとともに、鍼がストップしてしまうのです。それくらい硬くなったコリを抱えている方は、近年増える一方です。この石のようなコリは、鍼で溶かすようにじっくり緩めていく必要があります。
以上2点の理由は、「鍼先に目を付ける」ような鍼にこだわっている当院ならではのことかもしれません(当院の鍼灸に興味のある方は、ぜひ「当院のこだわり」と「皆さまの声」をご覧になって頂きたい)。
その理由はともかくとしても、身体を使う機会が減って「身体が凝り固まって」しまっている現代人に鍼が有効なことは、確かだと思います。
筋膜が緩んで筋肉の伸縮が自由にできるようになれば、その筋肉付近の血管への圧迫が軽減して血流改善になるでしょうし、神経圧迫も軽減して自律神経の働きも回復してくることでしょう。
「筋膜リリース」に鍼灸
ぜひ、お試しください(^^)
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